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「確定拠出年金」の資産の多くが運用されず塩漬けに

◆約57万人分の資産が運用されず
確定拠出年金(DC)制度で運用されずに放置されている預かり資産が今年3月末時点で1,428億円(約57万人分)に上ることが判明したそうです。原因の多くは、勤務先で「企業型」に加入していた加入者が転職時などに必要な手続きを行わなかったためです。
前年より約207億円も増加しており、この5年間では約2.6倍になりました。これらの資産は厚生労働省所管の国民年金基金連合会に移されて「塩漬け」になり、加入者は老後資金の運用機会を逃していることになります。

◆企業型DCの加入者は離転職時に注意が必要
確定拠出年金法では、企業型DCの加入者がDCを設けていない会社へ転職したり、自営業に変わったりした場合、個人型DCへの切替えや、加入の状況によっては一時金受取りの手続きを6カ月以内にとらなければなりません。
必要な手続きをとらなければ、資産は国民年金基金連合会に自動的に移されます。
この資産は運用されないので利息がつかないうえ手数料が差し引かれるため、目減りしていくこととなります。

◆資産がゼロになったケースも
移管された資産は、残高がゼロになった人を除いて1人平均約42万円で、残高別では、100万円超200万円までが2万人、200万円を超える人が1万3,000人等となっています。
約57万人分のうち約23万人分は、資産がなかったり金額が小さかったりしたこともあって、残高はゼロになっています。

◆周知対策が急務
厚生労働省は企業に対し、DC加入の退職者に必要な手続きを説明する義務を課していますが、罰則はありません。
多くの企業が何の説明もしていないのが実情と言われ、老後のために運用するはずの資産がムダになりかねない事態となっています。国民年金基金連合会も、資産を本来の持ち主に返そうと、通知を毎年送っています。
厚生労働省は、先月、年金記録を管理する機関に対し説明の強化を求めました。確定拠出年金法の改正で対象者が大幅に広がるなど、関心が高まっている中で、加入者への情報の周知や教育が一層求められることになりそうです。

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